カフェで「そのリード素敵ですね」と言われた。飼い主の気分が上がる重要性。

パラコード

いつものカフェで

雪の残る朝だった。
散歩の延長みたいな気分で、いつものカフェに入った。

犬たちは足元で丸くなって、
私はコーヒーを待っていた。

そのとき、
隣の席の人がふっとこちらを見て、
少し間を置いてから、こう言った。

「そのリード、素敵ですね」

声は小さくて、
何かを売ろうとする感じもなくて、
ただ思ったことが口から出た、みたいなトーンだった。

身体が先に反応していた

「ありがとうございます」と答えながら、
胸の奥が、ほんの少しだけあたたかくなるのを感じていた。

うれしい、というよりも、
背中がすっと伸びるような感覚。

あ、今、
私は“ちゃんとここにいる”と思えたんだな、と後から気づいた。

犬が褒められたのでもない。
私自身が褒められた、というほど大きな話でもない。

ただ、
自分が選んでいるものを、
誰かが肯定した。

それだけの出来事だった。

犬の道具なのに

家に帰る道すがら、
その言葉が、頭の中に何度も浮かんできた。

犬のリードは、犬のためのもの。
安全で、丈夫で、負担がないことが一番。

それは揺るがない。

でも同時に、
それを手にして歩いているのは、私だ。

朝の空気の中で、
眠そうな犬を連れて、
何度も同じ道を歩く、その時間。

その時間をどう感じるかは、
道具ひとつで、静かに変わってしまう。

気分が上がる、という言葉の奥

「気分が上がる」という言葉は、
少し軽く聞こえるかもしれない。

でも、あの日感じたのは、
テンションが上がる、という感じではなかった。

むしろ逆で、
余計な力が抜けて、
自分の姿勢に戻るような感覚だった。

ちゃんと選んでいる。
ちゃんと暮らしている。
今の私は、これでいい。

誰かに評価されたからではなく、
自分の中の基準が、そっと肯定された感じ。

私はこうしている

犬の道具を選ぶとき、
私はいつも少し立ち止まる。

安全性は、絶対条件。
その上で、
それを持って外に出たときの自分の呼吸を想像する。

毎日使うものだからこそ、
違和感がないか。
誇張されすぎていないか。
静かに好きでいられるか。

犬のため、という言葉の裏に、
「飼い主が疲れないこと」も含めている。

あの日の一言は、
その選び方が間違っていなかったことを、
ただ、そっと教えてくれただけだった。


その言葉が残り続けた理由

家に帰ってからも、
あの「素敵ですね」という一言は、
なぜか頭の奥に残っていた。

思い返してみると、
あの人は、犬をじっと見ていたわけでも、
ブランドや値段を聞いてきたわけでもなかった。

ただ、
私が手にしているものと、
その場に流れていた空気を、
ひとまとめにして受け取ったように見えた。

散歩の途中で立ち寄ったカフェ。
犬が足元にいて、
私はコーヒーを待っている。

その風景ごと、
「いいですね」と言われた気がした。

飼い主の気分は、案外そのまま伝わる

犬は、こちらの気分を隠しきれない。
急いでいるときの歩幅も、
考えごとをしているときの手の力も、
全部、リードを通して伝わってしまう。

気分が沈んでいる日は、
理由がなくても散歩が重くなる。

逆に、
自分の選んだものを信じられているとき、
歩く速度は自然に整う。

犬の落ち着き方が違う、
そんな気がする朝もある。

きっと、
飼い主の気分が上がる、というのは、
派手になることじゃない。

余計な緊張がほどけて、
「今日もいつも通りでいい」と思える状態。

その“いつも通り”が、
犬にとっては一番安心なのかもしれない。

誰かの言葉で、確かめ直すこと

自分で選んでいるつもりでも、
どこかで「これでいいのかな」と揺れる日がある。

そんなとき、
通りすがりの一言が、
答え合わせみたいになることがある。

あの日の言葉は、
新しい価値を足したわけじゃない。

ただ、
私が大事にしてきた感覚を、
外側からそっと照らしただけだった。

それで十分だった。

この続きに、もし興味があれば

GIRASOLでは、
犬のための安全性と、
使う人の感覚が置き去りにならないことを、
同じ重さで考えている。

音も、道具も、
生活の延長にあるものとして作っている。

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このブログを書いている人のこと

神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で、
パラコードのドッグギアと、犬のための音を作っている。

元フィットネスインストラクター。
人と関わる時間の多さを経て、
今は、刺激よりも、管理できる静けさを大切にしている。

犬と暮らすようになってから、
生活の基準はとてもシンプルになった。
安全であること。
安心できること。
毎日繰り返しても、疲れないこと。

GIRASOLは、
そうした日々の中で残った感覚を、
無理に言葉にしすぎず、
道具や音として形にしている。

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