青白い朝の光が、部屋の輪郭をゆっくり浮かび上がらせていた。
エアコンの低い音だけが続いている。
暖かい空気が足元にたまっていて、床の冷たさを感じない。
まだ完全に目が覚めきっていない身体のまま、犬の様子を見た。
穏やかに寝ている。
それだけで、少し安心した。
今日も一日が始まったというより、
「今日も続いている」という感覚に近かった。
キッチンに立つ。
ご飯と味噌汁。ゆで卵とシーフードミックス。
減量中の食事は、制限でもあるけれど、
同時に一日の中で最も楽しみな時間でもある。
一口ずつ、噛む。
食感を確かめる。
味がどうこうというより、
「今、食べている」という事実を身体が受け取っていく感じがあった。
ジムの後の身体は、重すぎず軽すぎず、
ちょうどいい疲れを残していた。
よく眠れた朝は、世界との摩擦が少ない。
動ける。
呼吸が深い。
それだけで、今日という日は悪くないと思えた。
ふと、頭の中に浮かんだ。
小さな幸せを感じながら生きてみよう、と。
暖かい部屋で過ごせること。
食べるものがあること。
近くで犬たちが寝ていること。
今日も命が続いていること。
身体がちゃんと動くこと。
夫が元気に仕事へ行ったこと。
並べることは簡単だった。
言葉にすることもできる。
でも、
それを心から思えているのかどうかは、よくわからなかった。
当たり前すぎるから。
「ありがたい」と理解はしている。
けれど、深く感じているかと問われると、
どこか疑いが残る。
幸せの感度が低いのかもしれない。
そんなふうに思う自分もいた。
それでも、今日は穏やかだった。
昔の朝は違った。
もっと刺激を求めていた。
達成、変化、結果。
常に前に進んでいる実感がないと、不安だった。
今朝は違う。
前に進んでいないわけではない。
むしろ未来のために動く予定は山ほどある。
ブログを書く。
YouTubeを整える。
ショップを整地する。
やることは明確にある。
ただ、その根っこにある感覚が少し変わっていた。
焦りではなく、静かな準備。
証明ではなく、積み重ね。
誰かに見せるためではなく、
自分の生活を整えるための行動。
ジーナがゼロ距離で寄ってくる。
体温が伝わる。
触れると安心するのは、きっとこちらの方だと思う。
ヤックルは穏やかに眠り続けている。
その姿を見ていると、
未来を急がなくてもいい気がしてくる。
それでも未来は作りたい。
静かな幸せを感じながら、
ちゃんと前にも進みたい。
どちらか一つを選ぶ必要はないのかもしれない。
小さな幸せを感じることと、
未来を作ることは、
同じ時間の中で同時に起きていいのだと思った。
今日はそんな日だった。
この続きに、もし興味があれば
▶︎YouTube
GIRASOL Sounds
▶︎Shop
GIRASOL
いっしょに読みたい記事
このブログを書いている人のこと
神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で、
パラコードのドッグギアと、犬のための音を作っている。
元フィットネスインストラクター。
仕事として人と関わる時間が続く一方で、
次第に刺激や情報の多さよりも、
静かで管理できる距離感の暮らしを求めるようになった。
犬と暮らすようになり、
生活のリズムや優先順位が大きく変わった。
安全であること、安心できること、
毎日繰り返しても負担にならないこと。
GIRASOLは、
そうした生活の中で自然に残った基準から生まれている。
この文章を書いている今も、
部屋は暖かく、犬は眠っていて、
次に何を作ろうかと静かに考えている。


