犬の老いと向き合うということ|10歳から変わった生活と整え方

ライフスタイル

夜中のわずかな物音で目が覚めるようになった。
完全に起きているわけではないのに、どこかで気配を拾っている。

下の階で、カチャカチャと床に爪が当たる音。
ヤックルが動いている。

体を起こして、暗いまま階段を降りる。
電気はつけない。ダウンライトだけのやわらかい明かりの中で、彼は落ち着かない様子で歩いている。

排泄に行きたい合図だった。

外に出ると、さっきまでのヨボヨボした動きが嘘みたいに、シャカシャカと歩き出す。
足は悪いはずなのに、その瞬間だけは別の体を使っているみたいだった。

用を足し終わると、またゆっくりとした足取りに戻る。
帰り道は、おじいちゃんの歩き方になっている。

その往復を、ただ静かに付き添う。


半年くらい前から、急に変わった。

てんかんをきっかけに、時間の進み方が一気に早くなったような感覚がある。
目や耳の反応が鈍くなり、くるくると同じ場所を回ることが増えた。

水を飲みに行っても場所がわからず、立ち止まっている。
前足に力が入らず、少しずつ開いていく。

排泄も我慢ができなくなった。

寝ている時間は明らかに長くなっているのに、夜中は関係なく起きる。
時間の感覚が、少しずつずれてきている。


長い散歩はもうしない。
走ることもない。

外に出る目的は、ほとんど排泄だけになった。

それでも一日に4回、多いときは6回。
「行きたい」と言ったときに外へ出す。

時間を決めて連れていくよりも、そのほうが結果的にスムーズだった。

短い時間で終わる散歩。
景色を楽しむ余裕はない。

でも、その分だけ、必要なことに集中している時間でもある。


家の中も変わった。

明るすぎないように、照明はダウンライトだけにした。
静かな空間を保つために、自分で作ったBGMを流している。

水がうまく飲めなくなったので、フードはしっかりふやかす。
食事はむしろよく食べるようになった。

以前はなかなか食べてくれなかったのに、今は違う。
認知の変化なのか、理由ははっきりしない。

ただ、その変化も含めて今の状態なんだと思っている。


冬の外は正直きつい。
夜中に何度も外へ出るのは、体にこたえる。

だから、うんちは家の中でもできるようにした。

全部を外でやらせる必要はない。
生活の中で、無理が出るところは調整していく。

外に出る回数を減らすことよりも、続けられる形にすることのほうが大事だった。


外に出られなくなった。
夜中も起こされる。

生活はかなり制限されている。

それでも、完全に止まったわけではない。

朝起きて、整えて、散歩に行って、家に戻る。
その繰り返しの中に、ちゃんと流れはある。

穏やかな性格は変わらないし、食べるときは今でもよく噛んでいる。

全部が変わったわけじゃない。


変わったところに合わせていく。

それだけのことだった。

無理に戻そうとしない。
前と同じようにさせようとしない。

できなくなったことを数えるより、今できる形を探す。

その積み重ねで、生活はちゃんと続いていく。


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このブログを書いている人のこと

神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で
パラコードのドッグギアと、犬のための音を制作している。

元フィットネスインストラクター。
外に向かっていた生活から、内側を整える暮らしに変わった。

この文章を書いている今も、
下の階の小さな物音に意識を向けながら、静かに座っている。

起きるかもしれないし、起きないかもしれない。
その間にある時間ごと、生活にしている。

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