朝は、思っているよりも静かに始まっていた。
まだ完全に明るくなる前、ヤックルがそわそわと動き出す。
排泄に行きたい合図だった。
すぐに外に出し、ただ、その様子を見ている時間がある。
焦らず、急かさず、待っているだけの時間。
足腰が弱くなったヤックルは、ご飯を食べている最中に体勢を崩してしまうことがある。
器ごとひっくり返してしまいそうになるその瞬間、身体を支える。
片手で器を押さえて、もう片方で体を支える。
特別なことをしているわけじゃない。ただ、その場にいるだけ。
そのあと、自分の朝ごはんを食べる。
ふと横を見ると、2匹はもう寝ていた。
何かをしてあげたわけでもないのに、空気が落ち着いている。
静かなまま、時間が流れていく。
一通り家のことを終えて、朝からお風呂に浸かる。
お湯に入ると、やっと身体の輪郭が戻ってくるような感覚になる。
このときも、犬たちは寝ている。
起こす必要もなく、何かをさせる必要もない。
ただ、それぞれがそれぞれの場所にいるだけで、整っている時間だった。
同じ一日でも、うまくいかない日がある。
時間に追われているとき。
やることが頭の中に並びすぎているとき。
排泄に出ても、早くしてほしいと思ってしまう。
クン活をしている時間を、長く感じる。
「早くして」
言葉に出してしまうこともあったし、出さなくても空気には出ていたと思う。
そういうときに限って、スムーズにいかない。
思い通りに動いてくれない。
犬たちは、こちらの焦りをそのまま受け取っているようだった。
穏やかに見られないとき、犬も穏やかではいられない。
反発するように、流れが崩れていく。
終わったあと、少しだけ重たいものが残る。
自分に対しても、犬たちに対しても。
余白って、何か特別な時間のことだと思っていた。
何もしない時間をつくることとか、
ゆっくり過ごすこととか。
でも実際は、そういうことではなかった。
予定を詰めないこと。
思い通りに進まなくても「まあいいか」と思えること。
その場の流れに、少しだけ合わせられること。
それだけで、空気は変わる。
ヤックルとジーナは、同じように穏やかになる。
特別に何かをしたわけではないのに、
一日がスムーズに流れていく感覚がある。
逆に、こちらが詰め込んでいるときは、
なぜかひとつひとつが引っかかる。
どこかで無理がかかっている。
私は、スケジュールを完璧にこなすことをやめた。
予定していたタスクができなくても、そのままにする日もある。
「まあいいか」と思える余白を残しておく。
そのほうが、結果的に全部がうまく回ることが多かった。
犬との暮らしは、コントロールしようとすると崩れていく。
きっちり整えようとするほど、どこかが歪む。
でも、少しだけ余白を残しておくと、
何もしていないのに整っていく。
そんな日が増えていった。
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このブログを書いている人のこと
神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で
パラコードのドッグギアと、犬のための音を制作している。
元フィットネスインストラクター。
人と関わる仕事を続ける中で、
外側の刺激よりも
自分で整えられる暮らしを選ぶようになった。
現在は
犬との時間を中心に生活を組み立てながら、
散歩・制作・発信を日常のリズムとして続けている。
GIRASOLは
特別なことをするためのブランドではなく、
毎日の時間を少し誇らしくするための道具として生まれた。
派手さではなく積み重ね。
強く主張するのではなく
静かに続けることを大切にしている。
音も、言葉も、プロダクトも
すべては
愛犬と並んで歩く時間の中から形になっている。


