「ちゃんとしなきゃ」を捨てたら、犬も私も呼吸が深くなった。

ライフスタイル

朝の空気が、少しだけ軽かった。

いつもと同じ時間に起きて、
同じように水を飲んで、
同じように犬たちが近くにいるのに、
胸の奥の重さが、ほんの少し違っていた。

深く息を吸ったとき、
「あ、入る」って思った。

ここ最近まで、呼吸が浅かったことに、
その瞬間まで気づいていなかった。


床に座って、ぼんやりしていると、
ヤックルが近くに来て、そのまま寝転がった。

ジーナも、いつの間にか横にいる。

何もしていないのに、
空気が静かで、やわらかかった。

あの、
何かをちゃんとしなきゃいけない感じが、
少しだけ、遠くにあった。


「ちゃんとしなきゃ」

それは、いつからだったのか分からない。

ちゃんとやらなきゃ
ちゃんと考えなきゃ
ちゃんと動かなきゃ
ちゃんと理解しなきゃ

そして、

ちゃんとやってるのに
なんで分かってくれないの
なんで動いてくれないの

そんなふうに、
誰かに対して思っている自分もいた。


期待していた。

こうしてくれるはず
こうなるはず
こうあるべき

それが外れたとき、
「してくれない」という言葉に変わる。

でもそれは、
最初から自分が勝手に作った期待だった。


犬も、人も、同じだった。

言葉を話せるかどうかの違いだけで、
中身はそんなに変わらない。

それぞれのペースがあって、
それぞれのタイミングがあって、
それぞれの感覚がある。

それを、
自分の枠の中に収めようとしていた。


「こうしてほしい」

その気持ちは、消えない。

でも、それを
「そうするべき」に変えた瞬間に、
苦しくなっていた。


コントロールしたかった。

相手を。

状況を。

未来を。

そうすれば、安心できると思っていた。

でも、よく考えたら、
自分だってコントロールされたくない。

「こうしなさい」って言われると、
途端に動けなくなる。

やりたくなくなる。

それなのに、
同じことを、外側にやっていた。


変えられるのは、自分だけ。

そんな言葉は、前から知っていた。

でも、頭で分かるのと、
体が納得するのは、全然違う。


ある日、ふと、力を抜いた。

ちゃんとしなくてもいいか、って思った。

全部じゃなくていい。

少しだけでいい。

その瞬間、
胸の奥の圧が、すっと抜けた。


不思議なことに、
そのあと、犬たちが落ち着いていた。

無駄に動き回らないし、
呼びかけなくても、近くにいる。

空気が、穏やかだった。


ああ、と思った。

私の緊張が、そのまま流れていたんだと。


ちゃんとしなきゃ、って思っているとき、
呼吸が浅い。

身体が固い。

目線が鋭い。

そんな状態で出している空気を、
彼らはそのまま受け取っている。


逆に、
力を抜いたとき、
呼吸が深くなったとき、

犬たちも、同じようにゆるんでいた。


何かを教えたわけでもない。

しつけを変えたわけでもない。

ただ、
自分の中の「圧」が少し減っただけ。


それだけで、空気が変わる。


旦那に対しても、同じだった。

期待があることは、消えない。

こうあってほしいと思う。

分かってほしいと思う。

でも、それを
「やるべき」に変えていたのは、自分だった。


諦めたわけじゃない。

距離を置いたわけでもない。

ただ、
握っていたものを、少しだけ緩めた。


それだけで、
言葉のトーンが変わった。

反応の仕方が変わった。

空気が、少しだけ軽くなった。


何かが劇的に変わったわけじゃない。

相手は、相手のままだった。

でも、自分の中の圧が減ると、
世界の見え方が変わる。


ちゃんとしなきゃ。

その言葉は、
自分を守るために作られたものだったのかもしれない。

でも同時に、
自分の呼吸を浅くしていた。


今も、完全に手放せているわけじゃない。

気づいたらまた、握っている。

でも、そのたびに、
少しだけ力を抜く。

その繰り返し。


深く息が入るとき、
ああ、大丈夫だなって思う。


犬たちは、いつもそれを知っている。

言葉はなくても、
空気で、全部分かっている。


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このブログを書いている人のこと

神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で、
パラコードのドッグギアと、犬のための音を作っている。

元フィットネスインストラクター。

人と関わる時間の中で、
「ちゃんとすること」が増えていった。

気づけば、
正しくあること、求められること、
それを外さないように生きていた。

犬と暮らすようになって、
その感覚が少しずつ変わっていった。

言葉が通じないからこそ、
空気や呼吸がそのまま伝わる。

ごまかしが効かない世界。

この文章を書いている今、
足元でヤックルが寝ていて、
少し離れたところでジーナが丸くなっている。

静かな空気の中で、
呼吸の深さだけを頼りに、
今日もひとつ、余計な力を抜こうとしている。

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