伸びていないのに、やめたくならない理由

GIRASOL Sounds

再生数の数字を見た朝

画面を開く。

数字は、昨日とほとんど変わっていない。
むしろ、期待していたほどは動いていない。

その瞬間、胸の奥が少しきゅっとなる。
悔しい、という感情が、最初に来る。

私は、平気な顔をしていられるほど、悟ってはいない。
やるなら伸びたいし、
出すなら届いてほしいと思っている。

静かな音楽を流しているチャンネルなのに、
中身の私はわりと人間くさい。

数字が伸びないと、
ちゃんと悔しい。

それでも、アップロードしてしまう

だけど、動画を出すかどうかを決める瞬間は、
頭ではなく、胸のあたりが動いている。

静かに「出そう」と言う。

評価を計算している感じではない。
戦略でもない。

衝動に近い。

再生数が伸びないなら、やめればいい。
そう思ったこともある。

この制作の時間が空いたら、
何が入ってくるのだろう、と少しワクワクもした。

もっと効率のいいことかもしれない。
もっと成果が見えやすい何かかもしれない。

でも、その空白を想像したとき、
同時に、少し寒くなった。

音を重ねている時間が、
私の一日のどこかを温めていることに、
そのとき気づいた。

棚に本が並んでいく感覚

動画が一本増えるたび、
私は数字を見ているというより、
棚を見ている。

自分の中の、見えない棚。

そこに、静かな本が一冊、また一冊と並んでいく。

ベストセラーではない。
誰かが列を作るわけでもない。

でも、確実に増えていく。

フォルダの中に、
自分の音が積み重なっていく。

それは、基地が広がっていく感じに近い。
小さな拠点が、少しずつ形になっていく感覚。

誰も見ていない時間のほうが長いのに、
なぜか、ちゃんと存在している。

一生伸びなかったとしても

もし、このチャンネルが
このまま一生、大きく伸びなかったとしても。

それでも続けられるかと聞かれたら、
私は、続けられると思った。

理屈ではなく、体のほうがそう言っている。

もちろん、明日いきなり一万回再生されたら、
私は超うれしい。

飛び上がると思う。

だから、私は聖人ではない。
評価を超越しているわけでもない。

未来への期待は、ちゃんとある。

でも、それとは別に、
この制作の時間そのものが、好きだった。

音を重ねる夜。
波形を眺める時間。
完成した動画を、自分で流して作業する静けさ。

犬のために作っているはずの音が、
私の呼吸を整えていく。

その時間は、
数字とは関係なく、すでに存在している。

悔しさと衝動のあいだ

悔しい。

でも、やめたくない。

未来も欲しい。
でも、今も好き。

この矛盾の中に、
たぶん私の本音がある。

伸びないなら価値がない、
という世界に長くいた。

でも今は、
伸びていなくても続いているものが、
自分の内側を少しずつ作っている感覚がある。

棚に並んだ静かな本は、
まだ誰も手に取っていないかもしれない。

それでも、私はその棚の前に立つと、
少し誇らしい。

大きくはないけれど、
確かに、自分で作った風景がそこにある。

悔しさがゼロになる日は、きっと来ない。
でも、胸が「出そう」と言い続ける限り、
私はたぶん、今日もアップロードする。


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このブログを書いている人のこと

神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前で、
パラコードのドッグギアと、犬のための音を作っている。

元フィットネスインストラクター。

仕事として人と関わる時間が続く一方で、
刺激よりも、静けさのほうを選びたくなった。

この文章を書いているときの私は、
再生数の画面を一度閉じて、
自分の棚を見ていた。

そこに並ぶ静かな本を、
今日は少しだけ、信じられた気がしている。

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