眠る前、身体は限界まで疲れているのに、神経だけが張り詰めていた。
横になっても、どこか目の奥が覚醒しているような感覚が残っていた。
呼吸が浅く、胸の奥で何かがつかえているような感じ。
眠れるのかどうかも分からないまま、ただ暗闇に身体を預けていた。
いつの間にか時間が過ぎて、気づけば六時間が経っていた。
目が覚めた瞬間、まず感じたのは頭の軽さだった。
前日は空気が入りにくかった肺が、今日はすんなり開く。
息を吸うという当たり前の動作が、久しぶりに自然に戻ってきた感覚があった。
まだ夜の気配が残る部屋の中で、ヤックルが落ち着かず動き回っていた。
排泄したいときのあの独特なソワソワ。
静けさとは反対の、小さな生活音。
完全に目が覚めてしまったあと、ジムのことを思い出した。
昨日行けなかった分、今日は行こうと思っていた。
休館だった。
胸の奥に、少しだけ力が入る。
予定していた行動が消えると、身体は一瞬、行き場を失う。
それでもストレッチを始めると、違う変化が起きた。
関節がゆっくりとほどけていく。
呼吸が深くなり、血が流れていく感覚が分かる。
運動とは違う回復の手触り。
身体の内側で、何かが整列していくような感覚だった。
トイレ掃除をしているとき、思考は静かだった。
完全な無ではなかった。
運が良くなればいいな、と、どこかで思っている自分がいた。
そう思うこと自体が、少し弱いことのようにも感じたけれど、
環境が整っていく様子を見ると、心も同じ方向に動くのが分かった。
外はまだ暗い。
部屋の光も落としている。
行動の予定がほとんどない朝。
ジムに行く日も、心身は整う。
でも何も予定がない日は、そこに加えて環境まで整えられる。
床の質感。
空気の温度。
物の配置。
そういう小さな条件が変わるだけで、呼吸の深さも変わる。
減量している身としては、活動量が減ることは少し残念だった。
消費できたはずのカロリーを思うと、どこか落ち着かない。
それでも今日は、行動量とは別の回復が起きていると分かっていた。
静かな朝は、目立った成果を残さない。
誰にも気づかれない。
でも身体の奥では、確実に何かが進んでいる。
何も起きていない時間が、
一番強く生きている感覚を残す日がある。
私はそういう朝を、少しずつ信頼できるようになってきた。
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このブログを書いている人のこと
神奈川県在住。
犬と暮らしながら、GIRASOLという名前でドッグギアと音を作っている。
人と関わる仕事を長く続けたあと、
刺激の多い世界よりも、静かに管理できる生活を選ぶようになった。
この文章を書いている今、
まだ少し暗い部屋の中で、犬の寝息を聞いている。
今日も大きな予定はない。
でも身体は、昨日より整っている感覚がある。
静かに進んでいるときほど、
人生は音を立てない。


