冬の朝、キッチンに立つと、足元の床から冷気が這い上がってくるのがわかる。
まだ世界は薄暗く、家の中は静まり返っている。
ヤックルとジーナが寝息を立てている間に、私はやかんを火にかける。
換気扇が回る低い音と、次第に湯が沸いていく音だけが響くこの時間が、私は嫌いじゃない。
かつての私は、ここで迷わずコーヒーメーカーのスイッチを入れていた。
カフェインで脳を無理やり叩き起こし、「さあ、今日も戦うぞ」と自分に号令をかける。
それが正しい朝の始め方だと思っていたからだ。
けれど、ボディメイクという、自分の身体という素材と向き合う作業を続けていくうちに、ふと違和感を覚えるようになった。
私の身体は、本当にそれを欲しているんだろうか。
頭では「目が覚める」と分かっていても、胃のあたりがギュッと縮こまるような感覚。
それは、身体が「まだ準備ができていない」と訴えているサインだったのかもしれない。
私が作る「ただのお湯」ではない一杯
火を止め、お気に入りのマグカップに湯を注ぐ。
立ち上る湯気が、朝の光の中で白く揺れる。
私が毎朝作るのは、ただのお湯ではない。
ひとつまみの「海塩」と、数滴の「有機レモン果汁」を落としたものだ。
スプーンで軽く混ぜると、レモンの香りが湯気と共にふわりと広がる。
それはカフェインのような強烈な覚醒ではなく、もっと原始的な、細胞が呼吸を始めるような静かな刺激。
身体の輪郭を取り戻す時間
カップを両手で包み込む。
指先からじんわりと熱が伝わってくる。
その温かさが、冷え切っていた私の輪郭を少しずつ溶かしていくようだ。
一口、ゆっくりと含む。
熱い液体が喉を通り、食道を滑り落ちていく感覚を追う。
胃に到達した瞬間、身体の中心に小さな灯りがともる。
じわじわと、でも確実に、内側から熱が生まれていくのがわかる。
医学書を開けば、「内臓温度が1度上がると基礎代謝が上がる」とか、「副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズになる」といった正解が書いてある。
もちろん、プロデューサーとしての私はその理論を知っているし、誰かに説明するときはそう言うだろう。
でも、私がこの一杯を続けている本当の理由は、そんな数字の話じゃない。
これは、「私を大切にする」という確認作業なのだと思う。
冷たい水のままではなく、わざわざ火にかけ、温度を作る。
精製された塩ではなく、海を感じる塩を選び、香りを添える。
そのひと手間を、自分自身のために使うこと。
「今日も、私の身体の声を聞くよ」
「無理やり動かすのではなく、あなたのペースでいいよ」
そう身体に語りかけているような気がするのだ。
味は、私の鏡になる
海塩の微かな塩味は、寝ている間に失われたミネラルが身体に染み渡るようで、不思議と甘く感じる日もある。
逆に、ひどく塩辛く感じる日は、「ああ、昨日は少し無理をしたかな」と気づくきっかけになる。
白湯の味は、私のコンディションを映す鏡だ。
カップの中身が空になる頃には、身体の内側はポカポカと温まり、指先まで血が巡っているのを感じる。
無理やり起こされたのではなく、身体が自ら「動きたい」と言い出し始める感覚。
私は深く息を吐き、ダウンジャケットを羽織る。
ヤックルとジーナが、散歩の気配を感じて尻尾を振り始めた。
外に出ると、冬の朝の凛とした空気が頬を刺す。 けれど、お腹の中に熱を持っている今の私には、その冷たささえ心地いい。
世界が変わって見える瞬間
空を見上げながら歩く。 パラコードのリードを通して、愛犬たちの体温が伝わってくる。
私が作るGIRASOLのリードは、ただ頑丈なだけじゃない。
この「繋がっている」という感覚を、何よりも大切にしたいと思って作っている。
身体が整うと、心に余白ができる。
余白ができると、景色が変わって見える。
何気ない朝の光や、犬たちの足音が、愛おしい音楽のように響いてくることがある。
そんな時に生まれたインスピレーションを、私は音に変えているのかもしれない。
もしあなたが、朝起きるのが辛いと感じているなら
。 あるいは、何かに追われるように一日を始めているなら。
明日の朝、やかんでお湯を沸かしてみてほしい。
高いサプリメントも、難しいルールもいらない。
ただ、立ち上る湯気を眺め、ゆっくりと身体を温める。
その数分間が、あなたの中に「自分を慈しむ余白」を作ってくれるかもしれない。
私は今日も、この温かさを身体に入れて、一日を始める。
▼ 心に静寂を 白湯を飲む静かな時間、この音があなたの余白を広げる手助けになれば嬉しいです。
▼ 愛犬と繋がる 散歩の時、手のひらに伝わる安心感。私がこだわり抜いた日本製パラコードのリードです。 [GIRASOL オンラインショップ]
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このブログを書いている人のこと
Mami
かつては「正解」ばかりを追い求めていたけれど、今は「心地よさ」を羅針盤に生きています。
ボディメイクのコンテスト出場を目指しつつ、日々の食事や身体の変化を実験中。
愛犬のヤックル(アイリッシュセッター・10歳)とジーナ(Eコッカー・7歳)と共に、神奈川県相模原市で暮らしています。
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